2021年11月場所個別評価 逸ノ城

 今場所は5勝10敗で負け越した。前半戦は3勝5敗で折り返した。そして後半戦も巻き返せず、13日目に負け越しが決まった。終盤も連敗し、2桁黒星となった。来場所は平幕から出直しとなる。

 星勘定的には8日目の貴景勝戦で反則負けした相撲が痛かった。最初の攻防の中でマゲを掴んだのが反則負けの理由である。しかし相撲は長丁場に持ち込み、最後は押し倒しで勝っていただけに勿体無かった。中日で4勝4敗で折り返していればまた違った結果になったかもしれない。

 内容に関しては相手に研究され、自分の相撲が取れなかった。右差しをおっつけられ、差せない相撲が見られた。また相手に密着され、引いてしまう相撲も時々あった。先程の貴景勝戦も引く中でマゲを掴むという流れだった。対策が求められる。また照ノ富士戦は立ち合いからすぐに左上手が取れたものの勝てなかった。照ノ富士戦は左上手が取れたとしても少しずつ体勢を挽回され、最後は照ノ富士が十分な形を作るといった相撲になる。地力の差と言ってしまえばそれまでだが、役力士なのでもう少し何とかしたいところだ。そして終盤の3連敗は少し残念だった。負け越した後の相撲が大事だと大相撲の世界ではよく言われる。番付の降下を少しでも抑えるためである。最近は相撲に積極性が出てきたが、それと同時に精神的な粘り強さも求めたい。

 さて今年の逸ノ城は平幕下位からのスタートとなったが4場所勝ち越し、9月場所は三役に復帰して勝ち越しを決めた。巻き返した1年と言っていいと思う。しかし上を目指すためには来年が非常に大事である。三役定着、そして三役での2桁勝利が目先の目標となる。

 1月場所は西前頭2枚目となったが2桁勝利を挙げ、1場所での三役復帰といきたい。大関候補の中では今のところ御嶽海が一歩リードしているが、他の役力士や平幕上位の力士は力量はほぼ同じと言っていい。上を目指すにはそこから抜け出す必要がある。その為には何をすればいいか?。考えながら稽古したい。また若手力士も力を付けてきており、今まで以上に危機感を持って土俵に上がって欲しいところだ。