2021年9月場所個別評価 高安

 今場所は4勝8敗3休という成績に終わった。4連敗スタートで5日目の白星は不戦勝。その後連勝するも再び連敗し、10日目は今場所2度目の不戦勝となった。そして11日目の照ノ富士戦は寄り切りで敗れた際に土俵下に転落し、しばらく立ち上がれなかった。結局右のお尻の筋挫傷により12日目から休場した。

 内容以前に今場所は腹部にテーピングを施していた。脇腹を痛めていたのかもしれない。そして相撲は自ら前に出ることはほとんどなかった。3日目の霧馬山戦は3分以上の長い相撲となったが右四つに組み止め、勝機はいくらでもあった。しかし結局攻めきれず、最後は引き落としで敗れた。おそらく前に出られる体調ではなかったのだと思う。それ以外はちょっと考えにくい。観ている方とすれば不可解な一番だった。そして照ノ富士戦はおそらくだが脇腹の痛みで受身が取れず、右のお尻を強打したのではないか。7月場所直前のぎっくり腰と合わせ、怪我が多いのが気になる。これが若手や中堅力士なら怪我を治して巻き返してと言えるが、高安は元大関であり、年齢は31歳である。怪我が治ったところで番付を戻せるかというと微妙なところである。

 そして何より痛いのが元横綱稀勢の里の荒磯親方の独立である。引退してからも稽古相手だったが、7月場所前の稽古が最後であり、場所前の調整は大変だったと思う。部屋の力士は全て三段目以下である。場所前の合同稽古には参加していたが、結果として調整が上手くいったとは言えない。

 来場所は平幕に陥落するが、ここで巻き返せるかどうかが非常に大きなポイントとなりそうである。負け越すようなことがあれば大関復帰に向けてはかなり厳しくなると思う。しかし焦っても仕方がないのでまずは怪我を治し、万全な体調に戻すことが先決である。