これぞ理想の横綱! 照ノ富士 来歴 ドラマがあった2017年3月場所

 そしてまたしてもカド番で迎えた2017年3月場所はさまざまなドラマが詰まっていた。この場所は好調であり、9日目に勝ち越しを決めると11日目に1年半ぶりの二桁勝利を挙げた。その後迎えた14日目は琴奨菊戦だった。琴奨菊は関脇に陥落したばかりの場所で13日目までで8勝5敗であり、大関復帰に向けては一つも負けられない状況に追い込まれていた。一方照ノ富士は前日の相撲で左膝を痛めており、まともに相撲を取れる状態ではない。よって立ち合いで変化を選択した。そして変化が見事に決まった。しかしその後館内から大ブーイングが起こった。前日は自身の取組の後に稀勢の里が左の大胸筋を痛めており、大部分の人が怪我に気付かなかったことが原因である。琴奨菊戦に関してはまた後ほど語りたい。

 その後千秋楽は本割と優勝決定戦で稀勢の里に敗れ、優勝を逃した。待ったも含め、稀勢の里に3回も立ち合い変化されており、それでもお客さんはみんな、稀勢の里を応援していたという言葉が非常に面白い。本人の立場に立てばその通りである。またこの場所は引き立て役になっただけでなく、稀勢の里は膝の大怪我を負った相手でもあり、因縁めいたものを感じる。

続く