2021年7月場所個別評価 明生

 若隆景同様新三役の場所となったが8勝7敗で勝ち越した。前半戦は4勝4敗で折り返した。そして後半戦は白星が先行し、13日目に勝ち越しにリーチを懸けた。14日目は負けるも千秋楽は輝を引き落としで破り、嬉しい勝ち越しを決めた。

 内容に関しては引き技で5番勝った一方、前に出て勝った相撲は2番しかなく、あとの一番は貴景勝戦の不戦勝である。物足りない内容と言われても仕方がない。また終盤2日間は前頭2桁の番付の力士との対戦であり、対戦相手に恵まれての勝ち越しとも言える。しかも14日目の宇良戦は負けている。新三役で勝ち越したという結果を除けば褒められたものではない。

 勝った相撲に関しては突き合いの攻防からの横への動きに活路を見出していた。確かに横への動きの速さは武器ではあるが、相手に動きを覚えられたらおしまいである。また器用さは長所ではあるが、得意の左四つの相撲がなかなか取れていないのは問題である。そして身長180センチ、体重149キロであり、上位力士の中に入ると体が大きい方とは言えない。押し相撲も取れるが押し切れる力までは持っていない。現状では勝ち越すのが精一杯といった内容である。

 9月場所は新関脇となった。大関から陥落した朝乃山が張出関脇となり、ラッキーな形での昇進である。当然ながら再度の勝ち越しを期待したい。同部屋の豊昇龍が三賞を受賞するなど力を付けてきており、負けてはいられない。あとは上位力士相手に前に出る相撲が取れるかどうかである。結果もさることながら、相撲内容の進化に期待したい。