2025年1月場所個別評価 大栄翔

 今場所は11勝4敗の好成績だった。3連勝スタートを切り、前半戦は6勝2敗で折り返した。しかし後半戦は9日目からの大関戦は連敗し、優勝争いから脱落した。しかしその後は連勝し、14日目は8場所ぶりとなる三役での10勝に到達した。千秋楽は阿炎との三役対決を制し、大関昇進への起点となる大きな白星となった。

 内容に関しては場所を通して自分の相撲が取れていた。2日目の熱海富士戦はもろ手から突き起こすと一方的に押し出した。そして11日目の尊富士戦は右にいなされ、押し込まれながら残すと突き返し、相手がまともに叩いたところをそのまま押し出した。いずれも伊勢ヶ浜部屋期待の若手力士相手に三役力士として立ちはだかった。

 その一方で11勝は立派だが、内容的には8勝に終わった先場所とさほど変わらないように見えた。強いて挙げれば二の矢の攻めが速かったことくらいである。二の矢の攻めは三役以上なら対応できても、平幕なら対応できないレベルである。

 負けた相手は大の里、豊昇龍の二大関と元大関の霧島、そして伸び盛りの王鵬であり、いずれも相手のスピードについて行けなかった。ただ年齢は31歳であり、年下の力士のスピードに対応できないのは仕方がない部分もある、

 来場所は大関昇進に向けての足固めが期待されるが、照ノ富士が引退して豊昇龍が横綱に昇進したため、上位力士は一横綱二大関となった。看板力士が明らかに足りておらず、チャンス到来と言ってもいいと思う、しかし30代であり、気負うような年齢でもないので、まずは自分の相撲を取ることに集中したい。三役での実績は十分であり、二場所続けて二桁勝利を挙げられれば大関獲りの場所はハードルが下がる可能性もある。若手力士が力を付けてきており、二桁勝利が簡単ではではないのは確かである。しかし上位力士の調子が良くなければ勝てる位の地力は備えている。繰り返しになってしまうが、上を目指すというよりも自分の相撲を取ることに徹したい。