2021年5月場所個別評価 正代
今場所はカド番だったが9勝6敗という成績に終わった。7日目までは5勝2敗と星勘定としてはまずまずだったが内容は決して良くなかった。3日目の大栄翔戦は勝ったもののほぼ同時に土俵を飛び出しており、もう一丁になってもおかしくなかった。ここから調子を上げていけば問題なかったのだが8日目からはまさかの3連敗。5勝5敗となり、明らかに苦しい星勘定となった。三大関との対戦も残しており、大関陥落の可能性も出てきた。しかし意外な形で朝乃山が休場したのが正代にとっては大きかった。11日目からは白星を並べ、13日目は宝富士を寄り切りで破り、何とかカド番を脱出した。そして千秋楽は遠藤を押し出しで破り、意地を見せた。
内容に関しては大関とは思えない完敗といった相撲が目立った。2日目の若隆景戦は得意の左差しを右おっつけで殺され、最後は引いたところを寄り切られた。6日目の妙義龍戦は立ち合いからの圧力が全くなく、一気に押し出された。どちらが大関か分からないといった内容だった。9日目の豊昇龍戦は初顔だったが差し手争いから二本差されると右外掛けで裏返しにされた。結果もさることながら大関が取る相撲ではない。カド番を脱出し、大関の座を守ったことだけがせめてもの救いである。また場所後のコメントによると、公表の168キロだった体重が162キロまで落ちていたようである。言い訳と言ってしまえばそれまでだが、上位力士の多くが170キロを超えているのを考えればその影響は少なからずあったと思う。動きも大事だが、まずは体重を元に戻したい。
来場所に関しては大関なので当然優勝争いに加わって欲しいが、同じ大関でも照ノ富士、貴景勝とは差がついた感がある。二桁勝利が現実的なところだと思う。それよりも立ち合いの圧力を大関に昇進した頃に戻したい。今のままでは大関から陥落するのも時間の問題である。しかし立ち合いで相手を押し込めれば持ち味である土俵際の粘りが生きてくる。今後に向けては立ち合いの圧力が全てと言ってもいいと思う。今更腰高や脇の甘さは直らないので立ち合いの当たりをテーマに稽古やトレーニングを行ってほしいところだ。
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