今年の大関候補2025 熱海富士

・去年1年に関して

 1年を通して前頭3枚目以内をキープし、筆頭も3場所務めたが勝ち越しは2場所に止まり、三役には手が届かなかった。序盤は上位力士を倒す活躍を見せるものの、その後は黒星が増え、最終的には勝ち越すかどうかといった場所が続いた。厳しく言えば、まだ地力が足りないということだと思う。しかし豊昇龍戦は3連勝するなど、役力士と互角に戦える力を備えている。また二桁黒星はなく、平幕上位の番付を維持したことは評価できる。

・課題

 やはり右四つの相撲である。しっかりとした型を持っているのだが、9月場所初日の大の里戦や11月場所6日目の豊昇龍戦は詰めが甘かったと言われても仕方がない。体が大きい割にはリーチは長くなく、前廻しを取るなど前傾姿勢の相撲の方が合っている気がする。

 もう一つはスタミナ、特に1場所通して戦うスタミナが足りない印象がある。平幕とはいえ上位総当たりの番付であり、スタミナを消耗するのは理解できる。この部分は稽古と本場所の土俵で15日間闘える体力を少しずつ作っていきたい。しかし一皮むければ一気に番付を上げる可能性があり、要注目の力士である。

・今後に向けて

 去年伸び悩んだ原因の一つに部屋の関取衆が相次いで怪我をし、幕下力士と稽古をする日もあったようである。横綱をはじめとして関取が多数いるものの、稽古できる環境でなければ出稽古を検討してもいいかもしれない。

 年齢は22歳と若く、体が大きい上に柔らかさも持っている。可能性という意味では7人挙げた候補の中で一番魅力を感じる。実力的には早期の三役を期待したいが、先々のことを考えれば今の状況は決して悪くないかもしれない。スケールは大関クラスであり、仮に三役に上がれたとしても満足せず、貪欲な姿勢で上を目指したい。