2024年11月場所個別評価 大の里
今場所は新大関の場所だったが9勝6敗という成績だった。前半戦は阿炎と若隆景に負けたものの6勝2敗で折り返した。そして後半戦は10日目に大栄翔に敗れて3敗目となり、トップと星2つ差がついたということで優勝が厳しくなった。翌日は1敗の隆の勝に押し出しで敗れて4敗となり、優勝の可能性がほぼ消滅した。12日目は尊富士に勝って勝ち越しを決めたが13日目からの大関戦は連敗した。千秋楽は霧島に勝ち、9勝で場所を終えた。
内容以前に9月場所後の秋巡業中に体調不良となり、アデノウイルス感染症で巡業を離脱していた。福岡入り後は稽古をしたものの、間に合わなかったという印象である。初日の平戸海戦は二本差される危ない形となったが左からの突き落としでの逆転勝ちとなった。相撲内容も良くなかったのだが、それ以上に気になったのが体に張りがなかったことである。そして新大関のプレッシャーもあってか元気がなさそうに見えた。それでも前半戦は6勝2敗で乗り切っており、後半戦は崩れたものの、それなりに大関としての役割を果たしたのではないかというのが私の見方である。
そして内容に関しては負けた相撲はどの相撲も課題が出たと言えるが、中でも気になったのが10日目の大栄翔戦である。もろ手から一気に前に出たものの腰が高く、土俵際で大栄翔に左を差されて残された。その後肩越しに右上手を取ったものの右を差され、両差しを許した。そして自ら右上手を離し、左から突き落としに行ったが呼び込む形となり、そのまま寄り切られた。
確かに腰高のまま出て行ったのが良くなかったのかもしれない。しかし私が言いたいのは残されるような相撲を取らないことではなく、残された後の対応の仕方である。琴風さんが指摘していた通り、肩越しに右上手を取った後の引き出しが何もないのが現在地である。私としてはこの黒星を糧とし、遊び半分でもいいので若い衆をつかまえて同じ形にさせ、挽回の仕方を研究して欲しいと思っている。上手を取られても突き落とししかないと大栄翔が考えていたかもしれない。技量はすぐに身に付くものではないが、考えながら引き出しの数を増やしていけば我慢する相撲も取れると見ているので頑張って欲しい。
来場所は当然だが巻き返しを期待したい。現時点では横綱が出場するかは不透明であり、そうなると他の二大関の綱取りに待ったをかける筆頭となる。今場所は負けはしたものの二大関をあと一歩のとごろまで追い詰めており、体調さえ戻れば勝っても全然不思議ではない。今度は大関2場所目となり、慣れもあると思うので、2人の綱取りを阻止した上での優勝を私としては求めたい。
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