2021年3月場所個別評価 御嶽海

 今場所は8勝7敗という成績だった。前半戦は4勝4敗で折り返した。そして後半戦は12日目終了時点で7敗となり、勝ち越しに向けて後がなくなった。しかし13日目からは3連勝し、千秋楽に勝ち越しを決めた。

 内容に関しては得意の突き押しで白星を挙げていたが、役力士相手には初日の正代戦にしか勝てなかった。特に3日目の隆の勝戦と5日目の大栄翔戦は同じく大関昇進を目指す立場である。しかしどちらもいいところなく敗れた。少なくとも直線的に押す力に関しては隆の勝や大栄翔の方が上である。また気になるのが成長曲線である。隆の勝や大栄翔は伸びてきているのが分かるが御嶽海は成長が止まっている感じがする。新型コロナの影響で合同稽古以外に出稽古ができないのも要因の一つに挙げられる。一方で平幕力士相手には北勝富士にしか負けておらず、力の違いを見せる相撲が多かった。三役の座を維持できたことを除けば収穫はなかったと言える。何度も言っていることだが押す力がまだ足りない。内容的にも隆の勝や大栄翔に押し勝てるくらいでないと上は望めない。同じような内容が何場所も続いており、大関昇進に向けては厳しくなってきている。また千秋楽にマスコミに2桁勝利を逃した原因を聞かれ、「それをみんなに聞きたい。これから考える。課題はないよ。」と答えている。課題を自ら分かっていない部分も深刻である。

 来場所は改めて2桁勝利が目標となるが、大関候補のライバルだけでなく、若隆景や明生などの平幕力士も力を付けてきており、立場が厳しくなってきている。そして場所後に照ノ富士が大関に復帰したので結局4人に先を越されたことになる。この事実を本人がどう受け止めるか?。危機感を持ち、何かを変えていかなければ道は開けないと私は思うのだが…。