2024年11月場所を振り返って 優勝争い 14日目 琴櫻ー大の里戦

 14日目。隆の勝が前日に負けたということで番付通り、琴櫻は大の里戦、そして豊昇龍は霧島戦となった。

 先に琴櫻が土俵に上がった。大の里との対戦成績は3勝2敗であり、内容的にも琴櫻が大の里の出足を止める相撲が多い。また琴櫻の調子が上がっていない時は大の里が勝っているという印象があり、琴櫻にとっては取りにくい相手ではない。今場所の内容なら大の里の出足を止められると見ていたので琴櫻が勝つと予想していた。

 相撲は大の里のかち上げに対して琴櫻は両差し狙いでぶつかった。当たりは互角だったがその後大の里が右を差し、左はおっつけながら前に出た。すると琴櫻は後退しながらも左上手を取り、左から投げを打って体を入れ替えるとそのまま土俵の外に出した。

 内容に関しては琴櫻は危なっかしい上手の取り方であり、投げ技なのだが、立ち合いでしっかり当たった分ゆとりを持って対処できたというところかもしれない。また場所前は二所一門の連合稽古で大の里と三番稽古(同じ相手と相撲を取る)を行っており、稽古の中で攻略法を考えていたのかもしれない。私には三番稽古の成果が出たように見えた。そして琴櫻は先輩大関であり、新大関の大の里にこのまま上に上がられたらたまったものではないという思いもあったのだろう。取組後は珍しく小さくうなずく仕草を見せていた。

 一方負けた大の里は全力は出したものの一歩及ばずという内容だった。おそらく先場所の調子なら上手を取られてもそのまま一気に運べたと見ている。また横綱に向けては対琴櫻戦は一つの壁である。右差しで一気に持って行けるような簡単な相手ではなく、一工夫、二工夫が求められる相手である。稽古で力を付けるだけでなく、研究することも不可欠である。二人ともに上を目指す大関ということで今後も両者の対戦から目が離せない。

続く