角界のスプリンター! 尊富士 記憶に残る力士とは? 益荒雄に関して その2

 相撲の取り口は右差しからの速攻相撲はインパクトがあった。また小錦をけたぐりで破ったように足技も持っていた。

 最高位は関脇であり、関脇まで上がる力士は大抵は長年関取の座を守るものである。しかし怪我が非常に多く、幕内在位は僅か20場所に過ぎない。これは1957年に大相撲が年6場所制に移行してから入幕した力士の中で、最高位が関脇の力士としては最も少ない。また怪我で十両で相撲を取ることも多く、十両では実力が突出していたこともあり、5回もの十両優勝を果たしている。これは歴代における十両優勝回数の最多記録である。

 現時点では、であるが尊富士は益荒雄のイメージに非常に近いと私は思っている。三役には上がっていないものの110年ぶりの新入幕優勝を果たし、旋風を巻き起こした。体型は違うものの、速攻相撲が持ち味というのも同じである。そして既に十両優勝を2回果たしており、今後怪我が続くようなことがあれば、十両優勝回数の更新は十分考えられる。人々の記憶に残ると同時に記録としても残る。私には尊富士は益荒雄のような相撲人生になるような気がしてならない。

続く