2023年1月場所個別評価 金峰山

 今場所は東十両5枚目だったが11勝4敗の好成績だった。3連勝スタートし、4日目は北青鵬に敗れ、初黒星となったが5日目からは再び白星を並べた。そして13日目は元大関朝乃山との1敗同士の直接対決となったが物言いの末に突き落としで敗れて2敗となった。また取組中に右肩を痛めたらしく、翌日からはテーピングを施して土俵に上がっていた。しかし右はほとんど使えておらず、それが原因で連敗し、11勝で場所を終えた。

 内容に関しては突き押し相撲で相手を圧倒していた。十両三場所目で十両の土俵にも慣れ、本領を発揮したという感じである。さて金峰山の紹介をしたい。金峰山はカザフスタン出身で木瀬部屋所属であり、年齢は25歳である。身長192センチ、体重174キロと恵まれた体格をしており、北青鵬同様、三役だけでなく、更にその上を目指せる逸材である。そして右四つでも相撲は取れるが、突き・押しが得意である。

 勝った相撲に関しては3日目の千代の国戦は左のど輪で相手を一気に押し込み、いなされたものの再び土俵際まで押し込んで突き倒した。千代の国は幕内を32場所務めた実績があり、一方的な内容で勝ったということでやはり只者ではない。8日目の大奄美戦は引いたところを押し込まれ、後手後手に回ったものの右からの強烈な突き落としに大奄美がたまらず転がった。大奄美は体重188キロの巨漢力士であり、四つ相撲が得意なので転がって負けるような力士ではない。そんな相手を転がしただけでも凄いの一言である。

 一方負けた相撲に関しては4日目の北青鵬戦は自ら左四つに組みに行ったものの、半身で残され、長い相撲になってしまった。こうなると北青鵬に勝つのはなかなか厳しい。今場所は大奄美が同じような形で北青鵬に勝っているが、大奄美は北青鵬の半身を許さなかった。やはりメインは突き押しなので四つに組むと少し甘さが出るといったところか。そして朝乃山戦は廻しを許さず、右のど輪で一気に押し込んだが朝乃山の右からの突き落としで朝乃山が土俵を割る前に手が付いてしまった。相撲に勝って勝負に負けたといった内容であり、これは仕方がない。また朝乃山相手にこれだけの相撲が取れるというのは力がある証拠である。

 3月場所は東前頭14枚目となり、カザフスタン出身初の幕内力士となった。当然ながらここは通過点といったところである。最低でも勝ち越し、そして目標は二桁勝っての三賞受賞といったところか。しかし今場所は圧倒的な強さを見せただけに幕内力士も黙ってはいないと思う。あらゆる策を講じてくることが予想されるのでそれにどう対応していくか?。また母国に帰っても、基礎トレーニングは欠かさずこなして内容を師匠に報告するなど、超が付くほどの真面目なようである。体格を含めて大物感が漂っており、今後目が離せない存在となりそうだ。