2020年7月場所個別評価&9月場所に向けて 若隆景

2020年11月8日

西14枚目 若隆景 10勝5敗 

 3場所ぶりの幕内での土俵だったが10勝5敗の好成績だった。3連敗スタートとなったが前半戦は4勝4敗で折り返した。また初日から5日連続で佐渡ヶ嶽部屋の力士と対戦する「珍事」が起こっていた。結果は2勝3敗だったが本人は嫌だったと思う。そして後半戦は連勝し、12日目は錦木を寄り切りで破り、嬉しい幕内での初めての勝ち越しを決めた。また千秋楽は石浦を押し出しで破り、白星を2桁に乗せた。3場所前の新入幕は4連勝スタートを切るも右足首を痛めて5日目から休場するという残念な結果に終わってしまった。その無念を今場所晴らしたという感じである。

 内容に関しては右四つの相撲と相手の懐に入っての押し相撲で白星を増やした。若隆景の持ち味はスピードと相撲センスの良さである。前者に関しては体格は身長182センチ、体重124キロと決して大きくないがスピードが速いのでそのままの勢いで相手を土俵の外に出せる。後者に関しては祖父、父ともに元力士であり、兄は幕下・若隆元と十両・若元春という相撲一家に生まれている。また角界史上初となる「3兄弟同時関取」を目指している。そして3兄弟の中でも若隆景の相撲センスは図抜けている。自分有利な形を作ると同時に相手に力を出させない。また勝負どころも見逃さない。これは教えてもなかなかできるものではない。その上に負けん気も強い。相撲センスの塊みたいな力士である。 

 その中で少し残念だったのが立ち合いでの変化が3番見られた点である。相撲センスの高さ故かもしれないが今後を考えればもう少し減らしてほしい。また3連敗を除けば負けた相手は照ノ富士と妙義龍である。どちらも実力者だが照ノ富士戦は立ち合いで2本差して一気に寄ったが残され、逆に抱えられて極め出しで敗れた。妙義龍戦は立ち合いで左に変化し、突き押しで先手を取るも妙義龍に間隔を取られ、土俵際で叩き込まれた。どちらも今後に向けて課題が出た一番だったと思う。照ノ富士戦は体の大きな力士への対応、そして妙義龍戦は同じくスピードのある力士への対処である。この経験を次に活かしてほしい。

 9月場所は再度の自己最高位となるが勝ち越しを期待したい。若隆景の一番の武器は2の矢の攻めの速さである。おそらく初めて対戦する力士は戸惑うと思う。逆に少しでも止まってしまうと軽量を突かれるので速い相撲を心掛けたい。あとは今後を考えればもう少し体重を増やしたい。増やせれば平幕上位でも面白い存在になれると思うので今後に期待したい。