2024年9月場所を振り返って 優勝争い 13日目 琴櫻ー大の里戦 最初の一番

 そして結びの一番である。大の里は琴櫻戦だった。この一番に勝てば2度目の優勝に大きく近づく。そして3場所トータルの勝ち星が大関昇進の目安の33となり、場所後の大関昇進が見えてくる。それに加えて昨日とは違って大関戦であり、大の里にとって非常に重要な一番となった。対戦相手の琴櫻はここまで7勝5敗と振るわないものの、過去の対戦成績は大の里の1勝3敗と琴櫻にリードされている。よって琴櫻は乗り越えなければならない壁である。琴櫻が大の里の勢いを止められるかという意味でも注目となった。

 相撲は立ち合いは琴櫻のモロ差し狙いに対し、大の里は右を固め、何が何でも右は差させないという当たりを見せた。その意識があったため、いつも程の当たりの強さではなく、当たりは琴櫻と五分だった。また大の里は右に意識が集中していたので左が留守になっており、琴櫻に右を差された上に左上手も取られた。一方大の里は右は差したものの、やや苦しい体勢となった。

 一見すると琴櫻が有利な体勢を作ったように見える。ただ琴櫻は上手を取ると脇が甘くなる悪癖がる。逆に相手に深く差されて懐に入られるといった内容がよく見られるので、個人的には琴櫻の上手を取っての相撲はあまり信用していない。

 そしてその後琴櫻が左からの上手投げで揺さぶるも大の里はバランスを崩さない。逆に大の里は琴櫻の左の脇が空いたところで右を深く差し、左はおっつけの形で一気に前に出た。すると琴櫻は左上手が離れてバンザイとなり、絶体絶命の体勢となった。しかし土俵際に詰まるも右足一本で踏ん張りながら右から掬い投げを打つと両者の体がほぼ同時に土俵を割った。物言いが付いたがどちらが先に土俵を割ったかに加えて大の里の掃き手もあった。また琴櫻も勝ち越しが懸かっており、どちらにとっても大事な一番ということで取り直しの判断は妥当だったと言える。

続く