2021年1月場所個別評価 高安 

 今場所は9勝6敗という成績だった。連敗スタートも前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦も白星を重ね、13日目に勝ち越しを決めた。しかし千秋楽は隆の勝に敗れ、2桁勝利には届かなかった。

 内容に関しては立ち合いは左を差しに行く相撲が多かったがその後は流れに応じて相撲を取っていたという印象である。元大関であり、地力があるのは分かるがどういった相撲が取りたいのかという意図が見えてこない。大関に上がる頃は強烈なかち上げからの突き押しが武器だったが今はその馬力が影を潜めている。少なくとも役力士に関しては自分の得意の型があった上で臨機応変に相撲を取っているが、高安の場合は得意の型自体が見当たらない。例えば12日目の隠岐の海戦は左四つに組んだものの、右からの投げで相手を呼び込み、寄り切られた。観ている方からすれば物足りない相撲だった。

 11月場所は8勝、そして1月場所は9勝ということで復調してきているというのは分かる。しかし勝った相撲でも前に出る相撲より上手くさばいて勝った相撲のほうが多かった印象がある。確かに三役での勝ち越しは立派だが、大関復帰となるとまだまだ厳しいと思う。

 3月場所に関しては結果よりも相撲内容の方に注目したい。大関復帰を目指すのであれば、馬力が落ちているので左四つに組む相撲を磨きたい。そして組み止める相撲が増えてくれば白星の数が増えるし、大関復帰も見えてくる。逆を言えば今場所の相撲のままでは現状維持が精一杯であり、先が見えている。ということで高安には相撲内容の進化に期待したい。2月で31歳となるので大関復帰に向けては今年が勝負である。隆の勝、御嶽海、大栄翔など歳下の大関候補との争いにも注目したい。