2024年7月場所を振り返って 優勝争い 12日目~13日目 大栄翔ー美ノ海戦
12日目は照ノ富士は盤石の内容で阿炎を寄り切り、1敗を守った。また3敗力士に関しては琴櫻と豊昇龍の両大関による3敗対決があったが豊昇龍が首投げで琴櫻に勝ち、3敗を守った。
12日目終了時点で1敗は照ノ富士、そして3敗は豊昇龍、隆の勝、美ノ海の3人となった。
13日目。照ノ富士と3敗力士の対戦はなく、3敗の3人が揃って敗れ、照ノ富士が勝った場合は照ノ富士の優勝となる。また3敗力士のうち豊昇龍が前日の琴櫻戦で右股関節を痛め、休場した。ということで豊昇龍は不戦敗となり、3敗力士は平幕の2人しかいなくなった。横綱はカド番の貴景勝戦であり、負けることは考えにくい。豊昇龍の休場により、13日目で照ノ富士が優勝する確率が高くなったのは確かである。優勝決定を引き延ばすという意味では隆の勝と美ノ海の役割は重要である。美ノ海は大栄翔戦が、そして隆の勝は霧島戦が組まれた。
まず土俵に上がったのは美ノ海である。大栄翔との一番だったが、美ノ海は役力士との対戦は初めてである。体は大きくなく、今場所好調とはいえ、大栄翔に勝つのは厳しいと見ていた。勿論初顔合わせである。また大栄翔とは同学年であり、高校時代はライバルだったみたいである。しかし出世は大栄翔の方が早く、大栄翔の新入幕から8年後にようやく幕内へ番付を上げた。ということで対戦を心待ちにしていたようである。
相撲は美ノ海が左前廻しを狙うも取れなかった。しかし大栄翔の攻めを右からいなすと逆に大栄翔を土俵際まで押し込んだ。しかし大栄翔も実力者である。右へいなすと押し返し、のど輪で攻め込んだ。しかし美ノ海が土俵際で右からいなして右へ回り込むと最後は送り出した。これで照ノ富士の13日目の優勝はなくなり、優勝は持ち越しとなった。また美ノ海は10勝目となり、幕内で初の二桁勝利となった。そして対三役戦初白星となった。
内容に関しては美ノ海が自分の相撲を取ることに徹した。左前廻しは取れなかったものの、右からいなし、押し込めたことが勝因である。その後反撃されたものの引かずに我慢し、土俵際に詰められたところで右からいなし、回り込んだ。前に出る姿勢を見せての勝利であり、目の前の一番に集中できている証拠である。馬力は明らかに大栄翔の方が上であり、真っ向勝負で勝った内容に思わず感動してしまった。それくらい素晴らしい内容だった。
続く
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