2024年7月場所を振り返って 序盤の大の里に関して 初日の御嶽海戦と2日目の若元春戦

 さて優勝争いに関してだが、今場所に関しては大の里抜きには語れない。初日は御嶽海戦だった。元大関の実力者だが、長らく平幕に低迷している。ただ大の里はまだ入幕したばかりであり、御嶽海の実力を肌を通しては分かっていない。よって大の里が負ける可能性もあると見ていた。相撲は大の里の右差し狙いを御嶽海が左おっつけで徹底的に封じ、低い姿勢から前に出て押し出した。御嶽海は精神的なムラはあるものの、これ位の実力は持っている力士である。一方大の里は右を差せなかった時の対処の仕方が課題として残った。すぐに引いてしまっては勝てる訳がない。そして引かずに我慢することを覚えて欲しい。御嶽海は取組後「できる範囲で取れました」と大の里対策に関して語っていた。その言葉通り、対策を練った上で自分の相撲を取っていたように見えた。しかし結果としては大の里の弱点をあぶり出すことになった。

 2日目は若元春戦だった。先場所は際どい相撲で勝っているが、油断できない相手である。相撲は大の里がもろ手突きで一気に前に出るも土俵際で若元春に左を深く差された。その後大の里は引いて体勢を立て直そうとした。しかし先場所も同じような形になっており、若元春も織り込み済みである。大の里は懸命に左に回り込もうとするも大の里に押し倒された。若元春からすれば大の里の動きは想定通りであり、先場所負けたことを踏まえての内容だった。研究した上で落ち着いて相撲を取っていた。一方負けた大の里は連敗スタートとなり、早くも場所後の大関昇進が厳しくなってきた。また右を差せずに負けたという部分では初日と全く一緒である。改めて重い課題を突き付けられた。そして大の里と対戦した両者ともに大の里対策を練っており、研究が進んでいると同時に簡単には上には上がらせないという強い意志が見えた。

続く