2024年5月場所個別評価 時疾風

 今場所は東前頭15枚目であり、新入幕の場所となったが6勝9敗で負け越した。4連敗スタートとなったが5日目からは3連勝し、前半戦は3勝5敗で折り返した。後半戦は巻き返しが期待されたが再び負けが込み始め、13日目に負け越しが決まった。そして千秋楽の狼雅戦はお互いに幕内残留を目指す一番となったが寄り倒しで敗れて9敗となり、来場所の十両陥落が濃厚となった。

 内容に関しては得意の左四つの相撲にこだわらず、動きのある相撲で白星を挙げていた。4連敗スタートの原因はやはり新入幕であり、幕内力士の速い動きに全く対応できていなかったことである。その後5日目の美ノ海戦で初日を出してからは自分の相撲が取れており、結果は出せなかったものの、持ち味は十分発揮できたと言える。

 特に良かったのが12日目の錦木戦である。錦木に右を差され、左は引っ張り込まれて土俵際まで寄られた。しかし右から掬って凌ぎ、右に回り込みながら左を巻き替えて二本差し、体を入れ替えて寄り切った。このように得意の左四つに組まなくても土俵際はしぶとく、動きの良さで対応できるタイプである。一方13日目の佐田の海戦のように前廻しを取られたり、狼雅戦のように右四つに組み止められるなど、動きを止められてしまったら小兵力士なのでどうしようもなくなる。よって自分の相撲を取ると同時に相手に捕まらない相撲を心掛けたい。

 7月場所は十両での土俵となりそうだが、二桁勝利を挙げての幕内復帰を期待したい。あとは現在132キロだが、140キロくらいまで増やしたい。それでも入門当初から少しずつ体重を増やしており、増量できそうに見える。あとは引き続き四つにこだわるのではなく、前に出る相撲が望まれる。同部屋には正代がおり、体型的にも稽古台としては持ってこいの力士である。その点では環境に恵まれており、稽古で力を付けたい。また現時点では正代は丁度いい目標という印象がある。勿論正代の最高位の大関は厳しいと思うが、正代の番付を越し、部屋頭となるのは割と現実的である。いずれにしても再入幕と幕内定着が次の目標となりそうだ。