2024年3月場所個別評価 狼雅

 今場所は西前頭15枚目であり、再入幕となったが7勝8敗で負け越した。連勝スタートを切り、前半戦は4勝4敗で折り返した。そして後半戦は13日目に7勝目を挙げ、勝ち越しに王手を懸けた。しかし残り2日は連敗し、幕内初の勝ち越しはお預けとなった。

 内容に関しては右四つに組み止める相撲で白星を挙げていた。また幕内二場所目ということで本来の相撲も随所に見られた。7日目の竜電戦は右下手を取られる苦しい形となった。しかし腰を落として下手を切り、再度下手を取られたものの機を見ての右上手ひねりで転がした。上手さが光った相撲だった。9日目の御嶽海戦は立ち合いで当たり勝って右を差し、左巻き替えを嫌いながら前に出て寄り切った。相手は元大関であり、今後の自信にしたい。

 一方スピードへの対応と馬力に課題を残した。6日目の美ノ海戦は立ち合いからすぐに左前廻しを取られた後すぐに送り出された。翌7日目の錦富士戦はすぐに左上手を取って寄ったが錦富士に左を差され、モロ差しを許して寄り切られた。どちらも相手の攻めに反応できておらず、今度は対応できるようになりたい。また10日目の正代戦と14日目の高安戦はともに一方的な内容で押し出された。馬力負けは明らかであり、立ち合いの圧力の強化が課題である。それでも千秋楽の負け越しであり、勝ち越せる実力があるのは確かなので来場所改めてというところだ。

 5月場所は西前頭15枚目に据え置きとなった。今度こそは勝ち越しといきたい。しかし勝ち越しを意識しすぎても仕方がない。課題と向き合って稽古をし、自分の相撲を取ることを心掛ければ結果は後からついて来そうである。ただ4月18日の浦安巡業の稽古中に左ふくらはぎを痛め、巡業を離脱したのが気掛かりである。本人は「ふくらはぎの肉離れだと思う」と語っており、本場所までに間に合うか微妙なところだ。それでも新入幕の時より相撲内容は良くなっており、自信を持って相撲を取って欲しい。