2024年3月場所を振り返って 三賞と十両優勝に関して

 三賞は尊富士が殊勲、敢闘、技能のトリプル受賞となった。また殊勲賞は尊富士と大の里のうち優勝した方が受賞となったが、尊富士が本割で勝ち、優勝を決めたため尊富士が受賞した。三賞のトリプル受賞は2000年11月場所の琴光喜以来24年ぶりとなった。また新入幕のトリプル受賞は1973年9月場所の大錦以来51年ぶり二人目となった。そして入幕二場所目の大の里が敢闘賞と技能賞のダブル受賞となった。敢闘賞は先場所に続いて2回目であり、技能賞は初受賞となった。今場所は二人が大活躍したので他の力士がかすんで見えるくらいだった。よって文句のない選考だったと言える。

 十両は西2枚目の水戸龍が12勝3敗という成績で2度目の十両優勝を果たした。8日目までは朝紅龍が全勝であり、1敗で若隆景が追いかける展開だった。しかし後半戦は二人とも連敗し、優勝争いから脱落した。そして入れ替わるように主役を務めたのが水戸龍だった。13日目で単独トップに立ち、千秋楽は碧山を押し出しで破って自力で優勝を決めた。水戸龍は先場所は千秋楽で負け越し、幕内復帰がお預けとなっていた。しかし来場所は1年ぶりの幕内復帰が確実となった。十両では力は上位であり、優勝はある意味では当然の結果である。持っている能力は高く、今度は幕内定着といきたい。ただ本人にその意欲は見られない。また無欲という点では同じくモンゴル人の玉鷲と全く同じである。番付を上げようというよりも、一番一番の相撲に集中しているイメージがある。そして今後も番付に関わらず自然体で相撲を取っていきそうだ。