2020年7月場所個別評価 正代
東関脇 正代 11勝4敗
7月場所は11勝4敗の好成績で敢闘賞を受賞した。連勝スタートとなったが3日目は隆の勝に送り出しで敗れて初黒星。しかし4日目から連勝し、9日目に勝ち越しを決めた。10日目から連敗して3敗となり、優勝争いから後退したが14日目は1敗の照ノ富士を寄り切りで破り、優勝争いを面白くした。千秋楽は朝乃山に敗れた11勝を挙げ、自身初の三役での二桁勝利を記録した。
内容に関しては前に出るスピードと圧力が増してきた。今場所は両横綱と貴景勝との対戦はなかったがそれを差し引いても力を付けてきている。中でも光ったのは8日目の御嶽海戦と14日目の照ノ富士戦である。御嶽海戦はかち上げから相手の押しを正面から受け止め、体を開いて左から突き落とし、御嶽海を転がした。正代らしくないと言っては失礼だが力強い相撲だった。照ノ富士戦は立ち合いで相手に左上手を取られ、体勢不利に見えたが両差しから一気に引いて体を離すと同時に再び両差しとなり、一気に寄り切った。取組後は珍しく右手で小さくガッツポーズを見せた。相撲に関しては作戦が上手くいったという印象であり、まともに組み合わなかったという点で上手い相撲だった。
一方で上を目指す意味で不満だったのは10日目の大栄翔戦と千秋楽の朝乃山戦である。大栄翔戦は相手のぶちかましにかち上げで応戦し、右からいなすもその後は一気に押し出されてしまった。大関を目指すのであればもう少し粘り強く残して欲しかったところだ。朝乃山戦は前の取組で照ノ富士が優勝を決めており、優勝に絡む一番ではなかったというのもあり、真っ向勝負を選択した。しかし左上手を取れず、相手有利の体勢になり、最後は押し出された。作戦を立てれば朝乃山戦はそれなりに相撲になるとは思うが大関候補ならもう少し善戦しても良かったと思う。どちらももう少し地力を付けてほしいという点では同じである。
さて9月場所だが7月場所で少なくとも大関昇進への起点は作った。また3月場所も関脇で勝ち越しているので9月場所で13勝以上を挙げれば大関昇進の可能性もあると私は見ている。勿論9月場所でも二桁勝利を挙げ、11月場所での大関獲りが濃厚ではあるが9月場所で圧倒するような成績と内容を残せば協会審判部が動く可能性がある。力を付けてきているのは明らかだし、経験も積んでいるのでこのチャンスを生かすだけである。大関昇進もあるが熊本県出身力士の初優勝も手の届くところまできているので優勝にも期待したい。
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