2024年1月場所個別評価 阿炎

 今場所は西前頭2枚目だったが8勝7敗で勝ち越した。初日から上位力士との対戦が続いたこともあり、5連敗スタートとなった。しかし6日目は豊昇龍を引き落としで破り、去年の12月に亡くなった師匠への弔いの白星となった。それでも翌日は敗れ、1勝6敗と苦しい星となった。しかし8日目からは7連勝し、14日目に勝ち越しを決めた。平幕上位の力士のほとんどが負け越しており、三役復帰が濃厚となった。

 内容に関しては5連敗スタートだったものの役力士を相手にもろ手突きからの押し相撲を取っており、引く姿勢は全く見せていなかった。結果がついて来なかっただけであり、自分の相撲は取れていた。私は5連敗の相撲内容が勝ち越しに結び付いたと思っている。また亡くなった師匠に自分の相撲を見せているようにも見えた。亡くなって四十九日経っておらず、気持ちも落ち着かなかったと思うが、自分の相撲を取ることに集中しており、迷いが全くなかった。

 また後半戦はもろ手突きからの引き技で白星を挙げ、持ち味を発揮していた。驚いたのが12日目の翠富士戦である。この日は張り手から右差し、左上手を狙い、意表を突いた。その後右下手投げで振られたものの左上手投げから体を寄せ、右は抱えて寄り切った。先場所の大栄翔戦では両差しの立ち合いを見せており、最近は考えながら相撲を取っているのがよく分かる。また14日目の若元春戦は押し込まれたものの左へ回り込んでの絶妙な引き技を見せた。物言いが付いたものの若元春の右足が出るのが一瞬早く、軍配通りとなった。この部分はやはり相撲センスの良さである。また取組後本人がコメントしたように初日から体が動いていたという部分もあったと思われる。

 三月場所は再度の小結となったが今度こそは勝ち越したい。最近は平幕で勝ち越し、三役では負け越しを繰り返しており、まずは三役定着が目標となる。また突き押しの威力は戻ってきており、今度は上位力士を複数倒したいところである。そして亡くなった師匠を超えるには私は大関に上がるしかないと考えている。幕内在位記録などは師匠はとてつもない記録を残しており、鉄人の道を歩むのはほぼ不可能と言っていい。それなら上を目指す方が近道であり、まずは番付を超えることを目標にして頑張って欲しい。