2024年1月場所を振り返って 優勝争い 13日目 霧島ー豊昇龍戦 照ノ富士ー琴ノ若戦
13日目は琴ノ若は照ノ富士戦が、そして霧島は豊昇龍戦が組まれた。まずは大関戦である。過去一年間は不戦勝を除けば2勝2敗の五分であり、どちらが勝ってもおかしくない。またモンゴル時代は同じ柔道クラブで切磋琢磨しており、現在は横綱を目指すライバル同士である。そして私的にはフタを開けてみなければ分からない取組なので楽しみにしている対戦である。霧島は優勝争いには加わっているものの後半戦の相撲内容は決して良いとは言えない。一方の豊昇龍は霧島とは違って綱取りの重圧がなく、その分だけ豊昇龍が僅かながら有利と見ていた。
相撲は立ち合いからすぐに豊昇龍が右上手を取り、組み止めたかに見えた。一方の霧島は下手は取ったものの上手は取れず、苦しい体勢となった。そして豊昇龍が右上手を引き付けて前に出た。すると霧島は相手の右足内側にあった自分の左足を上手に抜き、外側に持ってくると二枚蹴りで転がした。柔道でいうところの支え釣り込み足である。これは相撲の技というよりも柔道技であり、見事な一本勝ちと言っていいと思う。
どうやら伏線があったようである。場所前の時津風一門の連合稽古で霧島は豊昇龍と5番申し合いをしたが、うち2番を右四つの体勢から左足で足を払う技を試みていたようだ。ちなみに豊昇龍はもっと相撲を取りたかったようだが霧島が拒み、申し合いを早々と切り上げている。綱取りに向けて豊昇龍対策を練っていたということである。これで霧島は2敗を守り、優勝争いに残った。一方の豊昇龍は3敗となり、優勝争いから大きく後退した。また優勝争いを除けば今度は豊昇龍が仕返しをする番である。その意味で来場所の対戦がどうなるか楽しみで仕方がない。
照ノ富士と琴ノ若の一番は琴ノ若が馬力を付けてきているだけに勝てる可能性もあると見ていた。しかし大きな間違いだった。立ち合いで琴ノ若が横綱を見ながら二本差しに行ったのに対し、照ノ富士は左前廻しを狙いに行った。そして琴ノ若が右を差すと同時に左から抱えて引っ張り込んだ。その後横綱は小手に振りながら右を差す機会をうかがった。そして隙を見逃さずに右を差すと腕を返し、左上手も取って一気に寄り切った。終わってみれば照ノ富士の完勝だった。
しかし元大関栃東の玉ノ井親方によるとそうではないみたいだ。横綱が左上手を狙いに行ったのは、琴ノ若に右を差させてから小手に振るための誘い水だったようである。それが上手くいったということである。仮に琴ノ若がもろ差し狙いではなく、左前廻しを取りに行っていれば違う光景になっていた可能性もあると指摘していた。それでも横綱が一枚も二枚も上だったことは確かである。
13日目終了時点で1敗力士がいなくなり、2敗で照ノ富士、霧島、琴ノ若の三人が並び、3敗で豊昇龍が追いかける展開となった。また面白くはなってきたが、内容を見ると私には横綱が有利のように見えてきた。
続く
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