2024年1月場所を振り返って 始めに

 2024年1月場所は横綱照ノ富士が琴ノ若との優勝決定戦を制して4場所ぶり9度目の優勝を決めた。成績は13勝2敗だった。また唯一優勝していなかった1月場所を制し、11人目の全6場所制覇を達成した。そして本人が目標としている優勝回数10回が視野に入ってきた。本人は一夜明け会見で「できるだけ早く達成したい」と誓っていた。優勝回数10回は初代若乃花や栃錦、北の富士などがおり、11位タイの記録である。ということで歴代の横綱の中でも強い横綱として語り継がれるラインだと私は思っている。後々のためにも是非とも達成してほしい記録である。

 また決定戦は敗れたものの、琴ノ若は千秋楽の本割で翔猿を破り13勝目を挙げた。そして直近三場所で大関昇進の目安となる33勝に到達した。これを受けて臨時理事会が開催され、琴ノ若の新大関誕生が確実となった。新大関誕生は2023年7月場所後の豊昇龍以来で、日本出身力士では2022年1月場所後に昇進した御嶽海以来となる。

 仮に本割で敗れていたら、打ち出し後に審判部で協議する予定だったみたいである。そして敗れていたら平幕相手の黒星ということで印象が悪くなり、意見が割れる可能性もあった。しかし琴ノ若が勝ったことで審判部が救われたという格好になった。何より琴ノ若の師匠で父でもある佐渡ヶ嶽親方が審判部長を務めており、師匠が一番ホッと胸をなでおろしているかもしれない。

 ただ優勝はできず、師匠は審判部長として琴ノ若に優勝旗を渡すという夢はお預けとなった。それでも師匠は「大関で優勝してもいいわけですから。楽しみはとっておきます。」と語ったようだ。琴ノ若にとっては横綱に上がる前の宿題である。またそれだけの力量は備えており、自身の夢をかなえるとともに師匠の夢も叶えて欲しいところだ。それでは1月場所を振り返っていきたい。

続く