今年の大関候補2024 豪ノ山

・去年1年に関して

 十両での土俵から始まったが5月場所は14勝1敗という極めてハイレベルな優勝争いで、落合との優勝決定戦を制して優勝を決めた。7月場所は新入幕となったが10勝5敗の好成績で初となる敢闘賞を受賞した。翌9月場所も9勝6敗で勝ち越すと11月場所は東前頭4枚目まで番付を上げた。そして霧島、貴景勝の二大関を破る活躍を見せ、8勝7敗で勝ち越した。突き押し相撲が上位力士相手にも通用することを示した。

・課題

 まずは不利な体勢になった時の対応である。身長は178センチと高くなく、手足も長くない。そして突き押しが得意とはいっても貴景勝とは違って密着して押すタイプである。ということで一気に押し切れれば問題ないのだが、廻しを引かれるリスクが高い。問題は廻しを取られた時の対処の仕方である。動き回って振りほどくのか、それとも懐に入って押すのか。いろいろな方法があるとは思うが、動きを止められたらどうにもならないので動き回ることが求められるのは確かである。この部分は実戦ではなく、稽古場で磨きたいところだ。

 あとは引かない相撲を取ることである。とっさの突き落としを武器としているが、一回はそれで勝てる。しかし次の対戦では相手に読まれ、突き落としが決まらないことがほとんどである。アマチュアでは通用してもプロでは通用しないと言っていいと思う。本人もそれは分かっているようだが、体が覚えていては全く意味がない。頭だけでなく体で覚える必要があり、その部分では稽古場から意識して稽古をすることが大切である。

・今後に向けて

 大学相撲出身であり、25歳という年齢を考えると大関に向けてはこれ以上遠回りはしたくないところである。勿論結果だけを求めてはいけないが、上位力士と対戦する中で実績を上げ、早い時期に三役に昇進したい。また稽古場でも能力の高さは示しており、既に上位力士にマークされる存在となっている。琴ノ若が昇進し、一横綱四大関となったが引き続き大関誕生が待たれている状況である。今年が勝負、とまでは言わないが大関に向けては非常に大事な一年となりそうだ。何としても上に上がるという強い気持ちで相撲に取り組んで欲しい。

 1月場所は5勝10敗で負け越した。一気に押し切れず、相手に廻しを取られて投げられるといった相撲が多かった。上位力士に対策を練られたという印象である。一方豊昇龍戦は一気に寄り切り、実力の高さを示した。体は動いており、黒星が増える中で調子が悪くなった感じなので悲観することはない。押し相撲を磨く一方、廻しを取られた時の対処法をもう少し研究したい。3月場所は番付が下がるので巻き返しを期待したい。上位力士との対戦がなくなるので二桁勝利が求められる。