勝負はここから! 熱海富士 相撲の取り口と課題

 相撲の取り口は右四つ・寄りを得意としているが押し相撲も取れる。そして右四つは右を差して十分というよりも左上手を取って十分というタイプである。また圧力を掛けながら上手を取ることが多いが、そのタイミングが上手い。上手を取れないと分かると攻め方を変えるという柔軟性も持っている。右四つ得意の相撲という点では部屋の横綱照ノ富士と同じである。ただ照ノ富士ほど背は高くないので引っ張り込むような相撲は取れない。似ているのは右からおっつける形である。横綱はおっつけながら前ミツを取る相撲を得意としているが、熱海富士はまだそれができない。しかし立ち合いの当たりが強くなれば前ミツを取る相撲も期待できそうだ。それと同時に押し相撲も重心が低く、いい形での相撲が取れている。体は大きいがリーチは長くないので私は押し相撲との併用がベターだと考えている。11月場所も押し出しで3番勝っており、対戦相手によって使い分けるということになりそうだ。

 課題はやはり立ち合いの当たりの強化である。今も立ち合いの当たりはそれなりに通用しているが、役力士が相手だと当たり負けする内容が多い。幕内経験が浅いので仕方がないことだが、これからは巡業や一門の稽古などで当たりを強くし、地力を付けたい。あとは押し相撲の強化である。これは熱海富士に限ったことではないが、以前より押し相撲が得意の力士が増えたので廻しを取る前に押し相撲を取るのが不可欠である。また体が大きいので押す力が強くなればそのまま押し出すという選択もできる。体に実が入ってきたのはつい最近の事であり、身体的な伸びしろにも期待できそうだ。

続く