元関脇・寺尾の死去に関して 最後に

 最後となるが、力士は短命とはよく言われることである。しかし井筒三兄弟でいえば父の鶴ヶ嶺は77歳まで生きている。一方母は先述の通り43歳で亡くなっており、3人共に母の血筋が受け継がれたのではないかという感じがする。長男の鶴嶺山は60歳、次男の逆鉾は58歳の若さで亡くなっており、寺尾も60歳ということで一般的に言えば早すぎる。しかし親方衆でいえば最近は停年の65歳になった後も協会に残る親方も多く、全体で見れば寿命は延びてきた印象である。そう考えると井筒三兄弟が揃って亡くなったのは生まれ持った宿命だったのかもしれない。

 寺尾の遺志は必ずや師匠代行の元豊真将の立田山親方や阿炎をはじめとする力士に受け継がれるだろう。個人的には幕下で低迷している峰刃にはこれを機に奮起してほしいところである。体格は立派であり、四つに組み止めれば強いので少なくとも十両には上がって欲しい力士である。また部屋の力士は相撲で勝ち、番付を上げるのが何よりの供養となる。辛いかもしれないが本場所では気持ちを切り替えて頑張るしかない。

 私にとっては寺尾の死は本人が亡くなっただけでなく、井筒三兄弟全てが亡くなったという意味で非常に重たいものとなった。そして土俵を沸かせてくれたということで心の底から楽しませてくれてありがとう、そして夢をありがとうと言いたい。井筒三兄弟の勇姿が語り継がれることを願いつつ終わりにしようと思う。

終わり