2023年11月場所を振り返って 優勝争い 13日目 一山本ー翠富士戦、琴ノ若ー竜電戦

 13日目。まずは3敗力士の取組からである。一山本は翠富士戦だったが立ち合いで翠富士は左へ変化し、そのまま引き落とした。翠富士は上位力士を倒した実績があり、一山本は思い切ってぶつかっていくしかない。しかし翠富士は一山本の心理を見抜いたうえでの注文相撲だった。一山本は気持ちを切り替えて残り二日相撲を取るだけである。

 琴ノ若は竜電戦だったが琴ノ若は立ち合いから右を差しつつ、相手の右上手を警戒したように見えた。しかし竜電は左からおっつけながら左前廻しを取った。そして右も廻しを取り、頭を付けたことで琴ノ若の動きを止めた。琴ノ若は二本差して反撃を試みるも竜電はそれを許さない。竜電は少しずつ前に出て琴ノ若を土俵際に追い詰めると最後は左前廻しで相手の上体を持ち上げるようにして寄り切った。

 竜電の相撲内容は素晴らしかった。相手の意表を突く形で左前廻しのいい位置を取ったことが勝因である。そして両廻しを取ったのは前日琴ノ若に勝った霧島と同じである。おそらく昨日の霧島の相撲を参考にしながら攻略を練ったものと思われる。相手がどう反撃するかというところまで頭に入っており、思惑通りの相撲が取れたという感じである。

 一方の琴ノ若は関脇とはいっても大関を目前に控えた力士である。体は大きいので不利な体勢になった時に横綱のように少しずつ有利な形に持って行くというような相撲内容を求めたい。廻しを取られた時の対応はまだまだ研究の余地があると思う。また連敗ということで場所後の大関昇進は厳しくなった。精神面も含め、課題が出た一番となった。これで3敗の二人は4敗となり、優勝争いから大きく後退した。

続く