千代の国引退について 初めに

 7月場所13日目の7月21日、日本相撲協会は元幕内千代の国の現役引退と年寄「佐ノ山」襲名を発表した。幕内在位は34場所であり、最高位は東前頭筆頭だった。そして敢闘賞を二度受賞し、金星一個を獲得した。相撲は激しい突き押しを得意としていた。また24場所で休場するなど、怪我と闘い続けた相撲人生だった。同期で9月場所で新小結となった錦木は初土俵から一日も休まず出場を続けており、対照的である。そして千代の国は幕内から幕下以下に落ち、幕内に復帰するというのを二度も経験しており、これは史上三人目である。力士仲間は「不死鳥」と呼んでいたようだ。本人は「必ず復活してやる」という気持ちで相撲を取っていたようだが、この思いは力士仲間だけではなく、ファンにも伝わっていたはずだ。淡々と相撲を取る力士が多い中、気迫を前面に出す取り口は非常に魅力的だった。それでは改めて千代の国を紹介したい。

続く