2021年7月場所個別評価 御嶽海

 今場所は8勝7敗という成績だった。前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦は10日目からの横綱、大関戦で3連敗して6敗となり、2桁勝利の可能性が消えた。その後は連勝し、14日目に勝ち越しを決めた。内容に関しては押す力がまだまだ足りない。タイプは違うが貴景勝のように土俵際まで押し込めればコンスタントに白星が増えてくると思うが、まだそのレベルには達していない。それを象徴したのが10日目からの上位戦である。正代戦は当たってすぐに叩き込まれた。照ノ富士戦は立ち合いから相手十分に組み止められ、一気に寄り切られた。そして白鵬戦は立ち合いから右を差され、動きを止められた。いずれも完敗である。そして力の違いを見せつけられた相撲内容だった。厳しい言い方になるが、これが御嶽海の現状の実力である。勝ち負けだけでなく、上位力士相手にしっかり押し込めるようにならない限り、大関昇進は勿論、大関獲りの気運も高まってこない。言い方を変えれば稽古場で強い力士ではなく、これが精一杯なのかもしれない。本場所で頑張ればというレベルの問題ではない。

 来場所は改めて2桁勝利を目指したいが、ただ2桁勝利を挙げるだけでは意味がない。内容も求められる。また内容に関しては今場所は負け越したものの、押し込めているという点では高安の方が上である。そして場所を通して相手を押し込んで勝つ相撲が少ないというのも相変わらずである。その部分は引きや叩きで白星を手にし、帳尻を合わせている状況なので印象としてはあまり良くない。今年は三役の座を保っているが、大関昇進に向けては段々厳しくなってきている。あとはこの状況を本人がどう考え、奮起していくかにかかっている。少なくとも今の相撲のままでは大関昇進はないということだけは断言できる。若手力士も力を付けてきており、危機感を持って土俵に上がって欲しい。