2023年7月場所個別評価 阿炎

 今場所は5場所ぶりの三役復帰の場所となったが6勝9敗で負け越した。前半戦は4勝4敗で折り返した。そして後半戦は9日目から連敗し、12日目に負け越しが決まった。終盤は連勝し、二桁の黒星は免れた。

 内容に関してはモロ手突きで攻めるも攻めきれず、そこを引かれて負けるといった相撲が多かった。翠富士や翔猿といった背の低い力士が相手の時は押し切れるが、それなりの体格の力士が相手だと押し切れないといった相撲が目立った。肘を痛がる素振りは見せなかったが、痛みはあるのだと思う。稽古はしているみたいなのでそれなりに相撲は取れるというレベルである。もう少し肘の状態が良ければ相撲内容も変わってくるのだが。一方で下半身は全く問題なさそうだ。3日目の明生戦は押し込まれながらも左へ体を開き、右足は上げて叩き込んだ。引き足が速いだけでなく、土俵の使い方が非常に上手い。このスピードがある限り、上位力士を苦しめることはできそうだ。

 9月場所は平幕に陥落するが、一場所での三役復帰を期待したい。できればもう少し前に出て勝つ相撲を増やしたいが、肘の状態との兼ね合いというのもあると思われる。そのあたりは考えながら相撲を取って欲しい。そして一人でも多く役力士を倒すことが求められる。