2022年7月場所を振り返って 優勝争い その8

 結果的には調子の良しあしがそのまま土俵に表れたといった内容だった。貴景勝は4場所ぶりの二桁勝利の上に昨日若隆景に敗れるまでは6連勝しており、調子を上げていたのは明らかである。一方の照ノ富士は13日目までは膝は持ちこたえていたものの、終盤は持ちこたえられなかった。取組後のコメントも「今場所、できることはここまでだった。」と語っており、膝の状態が良くなかったことをほのめかしていた。ひょっとしたら決定戦のことを考えられないほど膝が良くなかったのかもしれない。そう考えると千秋楽で逸ノ城が勝ったことは逸ノ城本人にとっても、照ノ富士にとっても大きかったということだと思う。繰り返しになるが、私としてはほぼ優勝決定戦になるものと考えていたので事実を受け入れるのに少しだけ時間がかかってしまった次第である。

 とはいえ、逸ノ城の初優勝は素直に嬉しい。幕下付け出しデビューから所要5場所で関脇に昇進し、横綱まで期待された。しかしその後は壁にぶつかり、腰のヘルニアに苦しむなど伸び悩んだ。また2019年3月場所は平幕で14勝を挙げ、殊勲賞を受賞したものの、全勝優勝した白鵬とは対戦させてもらえず、悔しい思いをした。その後は十両に転落するなど低迷したが、気持ちを切り替え、部屋の若い衆とともに筋力トレーニングに励むようになった。その成果が本場所でも表れた。以前は立ち合いは右を差すだけというのがほとんどだった。しかし今では対戦相手によって立ち合いを変えており、張り差しなどの厳しい相撲も多くなった。最近は三役~平幕上位に定着しており、今場所の優勝を機に更なる飛躍を期待したいところだ。

終わり