2023年7月場所個別評価 照ノ富士

 今場所は1勝3敗11休という成績に終わった。白星スタートも2日目からは連敗し、翌4日目に「腰椎椎間板ヘルニア及び腰椎椎体終板障害により一か月の加療が必要」との診断書を日本相撲協会に提出し、同日以降を休場した。

 内容以前に場所前の稽古でぎっくり腰になり、翌日に再開したものの、結果として間に合わせの調整となってしまったようである。負けた相撲に関しては2日目の錦木戦は二本差され、抱えて前に出たものの左からの小手投げで敗れた。腰の状態さえ良ければそのまま抱えて前に出られたところである。3日目の翔猿戦は右を深く差した時点で勝ったと思った。しかし翔猿に動かれて巻き替えられた上に翔猿「「ユルフン」もあり、廻しを取っても力が入らなかった。そして本来なら廻し待ったになるところだが翔猿はそれを見越して動きを止めなかったので廻し待ったは掛けられなかった。翔猿はあらゆる手段を講じての金星であり、よく頑張ったと思う。しかし照ノ富士の腰の状態さえ良ければ勝てたのも事実である。前日の錦木戦では転がされており、腰の状態を悪化させたというのも十分考えられる。

 場所後の夏巡業には参加しており、相撲を取る稽古はしていないものの、新大関となった豊昇龍に胸を出すなどして調整しているみたいだ。しかし当然ながら腰の状態は良くなく、一人横綱としての責任感で巡業に帯同しているといったところである。本来なら休場し、部屋で調整したいところだが、こういった姿勢は流石としか言いようがない。また巡業でどれだけ腰の状態を戻せるかが9月場所に向けてはポイントになりそうである。

 来場所に向けては巻き返してほしいが、腰の状態が良化しなければ休場という可能性もありそうだ。そして照ノ富士の役割の一つは若い世代に頑張ってもらい、横綱に上がったところでバトンタッチをすることである。白鵬も照ノ富士が横綱に上がるまでは頑張って土俵に上がり続け、バトンタッチする形で引退した。ということで次は自分の番である。横綱候補としては霧島と豊昇龍が挙げられるが、どちらが上がるにしてもあと1年くらいはかかると思う。土俵で結果を出すだけでなく、後に続く力士に指導し、育てていくことも求められる。