遅れて来た大物! 若元春 私が観た印象 その1

 私が観た印象は最初に見たのは幕下時代である。三兄弟が揃って幕下であり、BS大相撲でも大波三兄弟として話題になっていた。しかし私的には若元春を含め、三人にはさほど注目していなかった。なぜなら体があまり大きくないからである。ただ三人とも土俵際の身のこなしは凄かった。「負けた」とこちらが思ったところから逆転勝ちができる。これは稽古で培われたものではない。祖父から受け継がれたDNAによるところが大きと思う。この動きを見て三人とも関取になれると直感した。ただ長男だけが幕下での土俵が長くなっているのだが・・・。

 若元春に注目し始めたのは十両時代からである。十両は幕下と違って15日間毎日相撲を取る。ということでじっくり観ることができる。また弟の若隆景の方が早く出世しており、どうしても弟との比較で観てしまう部分がある。そしてまず思ったのが、弟より体が一回り大きいだけでなく、弟より身体能力が高いのではないか?。ということである。また左四つに組み止める相撲は力強い。しかし理詰めで攻める弟に対して土俵際の詰めが甘い。また攻め方が厳しくないので逆転される相撲もよく見られた。相撲を観てもあまり稽古をしていないのが分かるといった内容だった。ただの相撲ファンの私がそう思うくらいなので前の師匠や今の師匠がどれだけ歯がゆい思いをして見てきたかというのは想像に難くない。そして先代の荒汐親方は以前「一番下の若隆景はウチに来た頃から、負けん気が顔に出ていた。次男が同じような性格だったら、もっと強くなっていたと思うんですけどねえ」と嘆いていたようだ。逆を言えば当時は番付が上の若隆景以上に才能を評価していたということである。若隆景と違っておおらかな性格が出世の邪魔をしてきたのかもしれない。

続く