2023年5月場所個別評価 阿炎
今場所は東前頭筆頭だったが8勝7敗で勝ち越した。筆頭の番付であり、初日から役力士との対戦が続いたが前半戦は4勝4敗で折り返した。そして後半戦も一進一退の土俵が続き、7勝7敗で千秋楽を迎えた。千秋楽の宇良戦は三役復帰に向けて大事な一番だったが落ち着いた相撲で突き出しで破り、勝ち越しを決めた。
内容に関しては立ち合いで変化する相撲が多く、張り手を入れる相撲も見られた。やはり去年の7月場所後に右肘の手術を受けたが、完全には回復していないのだと思う。上位力士は体の大きな力士が多く、肘が耐えられないので変化が多くなっているのではないかと推測している。場所後も稽古はしており、今後も肘の状態を見ながらの相撲となりそうだ。上を目指す相撲ではないのでそれが少し残念だが、家族もおり、番付を守っていかなければいけない立場なので仕方ない部分もある。
それでも今場所は三関脇を破り、存在感を見せたのは事実である。霧馬山戦と大栄翔戦は体を開いての引き技が決まった。そして若元春戦は立ち合いで左から張り手を入れてすぐの肩透かしで破った。のど輪押しが減ってもリーチが長く、スピードが速い上に土俵を上手く使える力士である。また立ち合いの駆け引きも上手い。正攻法の相撲が取れなくても経験は持っており、これからも上位力士にとっては嫌らしい存在となりそうだ。
7月場所は5場所ぶりの三役復帰となり、小結となったが勝ち越しを期待したい。また元大関朝乃山が番付を上げてきたことに加えて若手力士が伸びてきており、今後は生き残りをかけた土俵が続きそうだ。若手力士の壁になると同時になりふり構わない相撲で存在感を発揮してほしい。
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