未完の大器! 湘南乃海 相撲の取り口 

 相撲の取り口に関しては一応は左四つの相撲を得意としているが体が大きいのもあり、右四つでも取れないことはない。そして対戦相手によっては押し相撲を取ることもある。先場所の決まり手を見ても寄り切りで2番勝っているが、上手出し投げ、上手投げ、小手投げで1番ずつ勝っているように投げ技も得意である。また横への動きが速く、引き技も得意としている。このように対戦相手によって柔軟に相撲が取れるタイプであり、相手にとっては掴みどころがない力士と言ってもいいかもしれない。今考えれば体格だけでなく、相撲のスケールが大きの出相撲の型が完成するのに時間がかかったということだと思う。

 確かに立ち合いの圧力が増し、前に出て勝つ相撲が増えてきたが、左右へ動いての引き技が時々見られるのが少し気になる。長身の上に動きが速いので引き技が決まりやすいかもしれない。しかし相手に動きを読まれたら話は別である。やはり引くにしても俵に詰まってから引くよりも、相手を押し込み、相手の陣地か、土俵中央で引き技を繰り出すのが理想である。そしてどんな相撲を取るにしても今の湘南乃海にとって大切なのは前に出る圧力を強くすることである。そのためには力強い相撲を取って周囲にアピールし、出稽古や巡業などで役力士や体の大きな力士に胸を出してもらうことが一番である。そしてぶつかり稽古で鍛えれば着実に力が付いてきそうである。今勝つことに全力を注ぐのではなく、先を見据えた稽古を私としては期待したい。

続く