2023年3月場所個別評価 水戸龍
今場所は8勝7敗で勝ち越し、入幕三場所目で初の勝ち越しとなった。4連敗スタートとなり、前半戦は3勝5敗で折り返した。しかし後半戦は9日目から3連勝するなど巻き返し、千秋楽は碧山を引き落としで破り、嬉しい勝ち越しとなった。
内容に関しては得意の右四つに組む相撲もあったが、四つにこだわらず、前に出る相撲が多かった印象である。特に良かったのが13日目の隆の勝戦である。相手の頭の後ろに右手を置き、動きを止めたもののなかなか寄れず、長い相撲となった。しかし最後は体が離れ、押し込まれたところを右から叩き込み、白星を手にした。前に出る圧力は三役経験者の隆の勝の方が強いが、水戸龍にも前に出る意識があったからこその白星だったと私は思っている。また新型コロナが取りあえず一段落し、出稽古や巡業の稽古で鍛えた成果とも言えそうである。今までは右四つの相撲や左からの上手投げにこだわっていた印象があるが、幕内は才能だけでなく、前に出る姿勢がなければ勝ち越すことはできない。出稽古や巡業で刺激を受け、相撲に対する意識が変わったことが勝ち越しに結び付いたと見ている。
5月場所は番付が一枚上がり、東前頭16枚目となったが勝ち越しての幕内定着といきたい。元は大学相撲でタイトルを獲得し、幕下付出でデビューしている力士なのでここで満足してもらっては困る。今後も積極的に出稽古に行き、上を目指してほしい。身長189センチ、体重194キロと体格にも恵まれており、あとは本人の努力次第といったところである。
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