2026年7月場所個別評価 藤ノ川
今場所は東前頭筆頭だったが8勝7敗で勝ち越し、初の殊勲賞を受賞した。番付据え置きとなり、今場所も初日から上位力士との対戦が続いた。その中で2日目は大の里、3日目は豊昇龍を破って2日連続で金星を挙げた。また不戦勝を除き、3月場所での横綱初挑戦からの4連勝は史上初の快挙となった。そして役力士との対戦を4勝5敗で終えると翌日からは平幕力士との対戦となった。それまでに立ち合い変化を2番見せており、普通に考えれば相手も読んでいるので変化はできない。ということで勝ち越しに向けて底力が問われた。13日目は美ノ海に敗れて7敗目となり、勝ち越しに向けて後がなくなった。しかし14日目に星を五分に戻すと千秋楽は藤青雲を寄り切って勝ち越しと三賞受賞を決めた。また来場所の新三役をほぼ確実とした。
内容に関しては押しと寄りに加えて投げ技などで白星を挙げていた。特に横への動きに対戦相手がついて行けておらず、スピードの速さをいかんなく発揮した。
横綱戦に関しては大の里戦は相手のモロ手突きをこらえて右を差すと大の里が右を差して前に出てきたところを左から突き落とした。タイミングも絶妙であり、思い切りの良さが光った。豊昇龍戦は右カチ上げから一気に押し込まれたものの、右足を俵に乗せると右から突き落としてかわして這わせた。令和の牛若丸と言われるだけのことはある。鮮やかな身のこなしで横綱を土俵に沈めた。本人が言うように立ち合いで当たっていたからこそ決まった感じがする。両横綱を倒し、存在感を存分に見せつけた。
そして圧巻だったのが9日目の王鵬戦である。当たってすぐに二本差すと王鵬に抱えられて前に出られたがこらえると両下手を取った。その後前に出るも残されると今度は吊って前に出ようとした。まさかの攻めに館内からは大歓声が上がった。そして吊って何度も揺さぶると最後は右下手投げからの掬い投げで王鵬を土俵下に転がした。取組後は館内から大きな拍手が上がった。驚いたのは背筋力の強さである。体重差は60キロあり、吊り上げようとしたことにびっくりした。また力相撲で勝っており、スピードだけではないことを証明した。個人的にはこの相撲内容が勝ち越しにつながったと見ている。
来場所は小結となりそうだが勝ち越しを期待したい。相手を見ながら自分の相撲を取るだけである。その中でいかにして白星を拾っていくか。できれば今場所のように序盤から上位力士を倒して流れに乗りたい。
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