2023年3月場所を振り返って 優勝争い その3

 13日目は3敗力士は琴ノ若は若隆景に取り直しの末に押し出しで敗れて4敗となり、痛い黒星となった。一方若元春と霧馬山は勝ち、3敗を守った。若元春は北勝富士戦だったが土俵際まで押し込まれるも左を差して残し、最後は右上手を取って万全の形で寄り切った。そして10勝目となり、三役では初となる二桁勝利となった。霧馬山は遠藤との一番だったが押し合いの攻防から右へいなすと遠藤を横に向かせ、そこを一気に送り出した。いなした後の攻めが速く、内容的にも明らかに強くなっている。これで三役で二場所連続二桁勝利となった。優勝争いは勿論、大関獲りの足場固めという意味でも残り二日が非常に重要である。

 そして2敗力士だが大栄翔は明生を落ち着いた取り口で突き出しで破り、2敗を守った。残り2日あるが、二度目の賜杯に向けて一歩前進といったところである。もう一人の連敗中の翠富士は豊昇龍戦だった。相撲は先場所同様、熱戦となった。立ち合いで豊昇龍が右から張り、肩透かしを繰り出すも翠富士が残し、二本差したが豊昇龍が右からおっつけると翠富士が左廻しを取ると同時に右を差し、右四つの体勢となった。その後足技などの攻防があったが最後は豊昇龍が前に出ると翠富士のバランスが大きく崩れ、そこを豊昇龍が下手投げで仕留めた。翠富士にとっては痛い3敗目となった。また豊昇龍戦は過去6勝1敗と大きくリードしており、勝機もあったので何とかしたかったところである。ただ軽量力士であり、役力士との対戦が続いているということでスタミナが奪われているというのもあるかもしれない。三日続けて背中に土を付けての黒星であり、優勝争い以前に小兵力士の厳しい現実を見せつけられた格好である。13日目終了時点で2敗は大栄翔一人、3敗は霧馬山、若元春、翠富士の三人であり、大栄翔が一歩抜け出す形となった。ただ大栄翔は霧馬山と翠富士とは対戦しておらず、リードしているとはいえ、気が抜ける状況ではない。

続く