2023年3月場所を振り返って 優勝争い その2

 12日目。翠富士は若隆景戦だったが上手出し投げで敗れて連敗し、2敗となった。相撲は押し合いから若隆景に二本差され、攻められるも土俵際で残し、攻め返した。しかし最後は左からの上手出し投げで転がされた。結果的には二本差されたのが全てだった。若隆景の攻めを残すのが精一杯であり、動き負けた格好である。逆を言えば前日の若元春といい、若隆景といい、動きを止めなかったのが勝因である。懐に入られれば技の引き出しが多く、考える時間を与えることにもなる。それをさせなかった二人が一枚上手だったということだと思う。

 そして大栄翔は北勝富士を突き出しで破って2敗を守った。今場所の大栄翔は初優勝を果たした一昨年の1月場所とは違って相手を見ながら、落ち着いて突き押しを繰り出しているという印象がある。また相手のいなしにも対応できるようになってきた。相撲にも安定感が出てきており、以前より相撲のレベルが一段階上がった感じがする。何より三役に復帰した場所で優勝争いに加わっているというのが力を付けてきている証拠である。12日目終了時点で2敗が大栄翔と翠富士の二人、そして3敗が霧馬山、若元春、琴ノ若の三人となった。五人のうち翠富士を除けば全て役力士であり、横綱・大関がいないながらも場所が少し締まってきた。その一方で優勝ラインが4敗になる可能性もあり、先行きが見えない中で終盤戦を迎えた。

続く