2023年1月場所個別評価 霧馬山

 今場所は11勝4敗の好成績で初の技能賞を受賞した。黒星スタートも2日目からは3連勝し、前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦は12日目は貴景勝を掬い投げで破った。14日目は優勝争いのトップで並んでいた阿武咲を突き落としで破り、役力士としての意地を見せた。千秋楽は竜電戦だったが立ち合いで左上手を求めに行き、有利な体勢を作ったが竜電は半身でも相撲が取れるのでなかなか寄れず、長い相撲となった。しかし左を巻き替えて相手の上手を切ると今度は右から出し投げを打ち、左を深く差して相手の上体を起こし、寄り切った。技能賞受賞にふさわしい見事な相撲だった。また今後に向けても大きな11勝目となった。

 内容に関しては何より押されにくくなったことが大きい。一方的な相撲で負けたのは6日目の大栄翔戦だけである。相手の強い当たりに後退せず、土俵中央で受け止められるようになってきた。それを象徴していたのが貴景勝戦である。相手の突き押しを下からあてがい、左からいなすとそのままの流れで左を深く差し、掬い投げで転がした。こういった相撲がコンスタントに取れれば時に負けることはあっても、二桁勝利は確実に見込める。来場所以降も今場所のような相撲が取れるかどうかが大関昇進に向けては大きなポイントとなりそうだ。

 場所後は積極的に出稽古に行っているようである。荒汐部屋では若隆景に5勝2敗、若元春に6勝1敗と圧倒し、絶好調といったところである。また高砂部屋では元大関朝乃山と稽古をし、4勝8敗だった。圧力負けしたようだが、相手は大関経験者であり、横綱候補でもあるので悲観することはない。強い相手と稽古をしただけでも収穫である。出稽古期間は2月25日までだが、最大限に利用する考えであり、今後が楽しみである。

 来場所は新関脇が確実だが、再度二桁勝利を挙げ、大関獲りの足固めをしたい。また大関だけでなく、期待したいのは初優勝である。私的には前半戦で黒星が増え、後半戦は巻き返すといった印象が強い。来場所は番付が上がり、前半戦は平幕力士との対戦が多くなるので初日から白星を重ね、優勝争いに加わるような活躍が見たい。また年齢は26歳であり、4月で27歳となる。同じく大関候補の豊昇龍より年齢は上であり、部屋付きの鶴竜親方が言うように今年大関に上がっておきたいという年齢である。いつまでもチャンスがあるとは思わず、今年大関に上がるという強い気持ちで取り組んで欲しい。