2023年1月場所を振り返って 優勝争い その3

 13日目。まずは琴勝峰が土俵に上がった。相手は阿炎である。相撲は立ち合いから阿炎がもろ手で突くも琴勝峰が右からいなして勢いを止めた。その後も押し合いの攻防となったが最後は阿炎が一気に前に出てきたところを右から突き落とし、阿炎はたまらず土俵下に転がった。これで琴勝峰は3敗を守り、優勝争いに踏み止まった。阿炎は6日目から4連敗するなどあまり調子が良くないが、それでも先場所の優勝力士である。しかも相手の攻めを受け止めての白星であり、今場所の充実ぶりを物語っているような内容だった。

 そして結びの貴景勝と阿武咲の一番である。予想通り押し合いの激しい攻防となったが攻めたのは阿武咲だった。しかし貴景勝が絶妙なタイミングで右から張り手を入れると形勢が一気に逆転。阿武咲が張り返そうとしたところで脇が開き、貴景勝が脇腹を突いて一気に押し出した。かつてのライバルというだけでなく体型も相撲の取り口も似ており、お互いが力を出し切ったという意味で素晴らしい相撲だった。そして勝った貴景勝が鼻血を出していたのが激しさを物語っていた。確かに阿武咲は良く攻めたと思う。結果は別にして思い通りの相撲は取れたように見えた。しかし貴景勝の経験が上回ったという内容だった。阿武咲が平幕で低迷している一方で貴景勝は大関として数々の修羅場をくぐり抜けてきている。そして貴景勝も負ければ優勝の可能性がほぼなくなるのは分かっており、簡単に勝たせるはずがない。連敗して開き直った部分もあったのではないだろうか。13日目終了時点で3敗が貴景勝、阿武咲、琴勝峰の3人となった。そして4敗が霧馬山、大栄翔、東龍の3人であり、4敗力士にも優勝の可能性が出てきた。

続く