2023年1月場所を振り返って 優勝争い その4

 14日目。貴景勝は豊昇龍、阿武咲は霧馬山、琴勝峰は大栄翔との取組となった。確かに並んでいるので優勝の確率は一緒である。しかし豊昇龍は左足首を痛めており、対戦成績を見ても貴景勝が星を落とすことは考えにくい。一方阿武咲と琴勝峰の対戦相手はいずれも実力者であり、今場所好調とはいえ勝てるかどうかとなると微妙なところだ。私は貴景勝が勝ち、他の二人が負けて貴景勝が単独トップに立つ可能性が高いと見ていた。

 まずは琴勝峰が土俵に上がった。大栄翔も優勝の可能性があり、負けられない。相撲は琴勝峰が立ち合いから右を差しに行くも差せず。しかし抱えて投げに行った流れで右上手を取り、相手の動きを止めて最後は寄り切った。大栄翔は簡単に廻しを許すような力士ではないのでこの内容には私は驚いた。今場所の好調ぶりを物語るような相撲だった。そして3敗を守り、優勝に一歩近づいた。

 次に阿武咲が土俵に上がった。霧馬山は優勝の可能性だけでなく、大関獲りに向けても大切な終盤の土俵である。相撲は立ち合いからすぐに霧馬山が左から突き落とし、あっけなく勝負が付いた。阿武咲は明らかに肩に力が入っており、対応が全くできなかった。相撲を取る前から勝負が付いていたのかもしれない。これで阿武咲は4敗となり、優勝は厳しくなった。一方の霧馬山は4敗を守ると同時に三役では初となる二桁勝利となった。

続く