2026年3月場所個別評価 朝白龍

 今場所は東前頭16枚目だったが10勝5敗の好成績だった。前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦も白星を伸ばすと12日目は正代を寄り切って勝ち越しを決めた。その後14日目は豪ノ山を上手出し投げで破り、幕内で初の10勝目となった。

 内容に関しては四つに組み止める相撲で白星を挙げていた。また前半戦は押し出しで3番勝っており、対戦相手が四つに組むと強いと分かっているので警戒された結果である。4日目の藤凌駕戦は幕内では初の拓大出身同士の対戦となった。相撲は低い姿勢での押し合いから藤凌駕が出てきたところを右から突き落として這わせた。取組後本人は「いつか当たるだろうと思っていたので、ついに来たかという感じ」と語っていた。おそらく大学関係者は喜んでいたに違いない。3年下の後輩を退け、先輩として意地を見せた。そして素晴らしかったのが12日目の正代戦である。相手得意の左差しを許さず右からおっつけると左下手を取って正代の動きを止めた。その後前に出ながら右前廻しを取り、そのまま寄り切った。大関経験者相手に何もさせておらず、完勝と言える内容だった。また技量の高さを示した。

 一方課題が出たのは11日目の宇良戦と千秋楽の伯乃富士戦である。宇良戦は左上手を取ったものの上手が深く、宇良に右を深く差されて下手を取られた。その後宇良にじわじわと前に出られると機を見て寄り切られた。左上手を取ったので自信があったのかもしれないが、宇良の上手い攻めに土俵を割ってしまった。伯乃富士戦は相手に両廻しを取られると頭を付けられ、廻しを取れなかった。その後一気に引きつけられて寄り切られた。どちらも機を見て攻められており、十両の時のような長い相撲は取らせてもらえない。よって速い相撲への対応が課題と同時に自ら速い相撲を取ることが大事になってくる。

 来場所は自己最高位を更新するが、場所後の春巡業でぎっくり腰となり、巡業を離脱したのが気になる。帰京後も部屋の自室で大部分の時間を横になって過ごす生活だったようである。まずは腰を完治させるのが最優先であり、番付発表時までにどこまでは回復しているかがポイントになりそうだ。場所初日に少しでも良い状態で土俵に上がりたい。