照ノ富士は復活できるのか? その3

 しかし話はここで終わらない。横綱の休場が多大な影響を及ぼすのはほぼ確実である。まずは番付最上位となる大関の最近のふがいなさである。今場所は貴景勝が二桁勝利を挙げたものの正代は4勝11敗という成績で来場所はカド番。御嶽海も同じく4勝11敗という成績でカド番を脱出できず、関脇へ転落となった。来場所10勝以上を挙げれば特例で大関復帰となるが、状況は厳しいと言わざるを得ない。また大関の優勝は大関時代の照ノ富士を除けば2020年11月場所の貴景勝までさかのぼる必要がある。いかに大関が大関としての役割を果たしていないかというのがよく分かる。また相撲内容も大関の地位を守るので精一杯といった内容であり、現状では上を目指せる大関は不在である。よって今後は三役力士だけでなく、平幕力士を含めて混戦となり、混迷を極める場所がしばらく続くものと思われる。仕方がないが、横綱の休場は観ている方からしても本当に痛い。

 そしてもう一つは照ノ富士に代わる横綱は現れるのか?という問題である。仮に横綱が誕生せず、照ノ富士が引退すれば1992年5月場所直前に現理事長の北勝海が引退して以来3度目となる。またもしそうなったら照ノ富士は自身が引退を決める以上に重い決断を下す必要がある。少し前に当時横綱だった白鵬と鶴竜の休場が続き、横綱の座に居座っていると批判されており、私もそう思っていた。しかし今になって思うのは若手力士が育っておらず、それが理由で引退できなかったのかもしれないということである。また白鵬も照ノ富士に後を託してようやく引退できたという印象である。そして現在は横綱を除けば三役力士から平幕上位の力士を含めて団子状態である。誰が出てくるか分からないという意味では面白いかもしれないが、今場所平幕優勝を果たした玉鷲は年齢が37歳であり、ベテランが存在感を発揮している現状もある。横綱候補という点では年齢が若いということで豊昇龍や琴ノ若あたりに期待したいところだが・・・。ファンとしては今は番付ではなく、純粋に混戦状態を楽しむしかなさそうだ。

終わり