2022年7月場所を振り返って 三賞など

 三賞は技能賞は該当者はおらず、殊勲賞は優勝した逸ノ城が3回目の受賞となった。また敢闘賞は今場所が新入幕で東前頭17枚目の錦富士が初受賞を飾った。成績は10勝5敗だった。また千秋楽に北勝富士に勝てばという条件付きだったが当日に北勝富士の新型コロナ感染が判明し、受賞が決まった。相撲内容は前に出て勝った相撲が多く、受賞に関しては文句はない。ただ本人の責任ではないものの、10勝のうち不戦勝が千秋楽を含めて3番あり、その全てが後半戦の取組だったというのが個人的には少しだけ不満である。なぜなら新入幕の力士は前半戦が好調でも後半戦は番付が上の力士との対戦が多くなり、勝ち越しに向けて苦労するという姿を多く観てきたからである。三賞は別にして、後半戦の不戦勝が本人にとって大きかったのは言うまでもない。しかし三賞をなかなか受賞できない力士もおり、その意味では新入幕での三賞受賞は本当に良かったと思う。

 十両は東筆頭の竜電が12勝3敗の好成績で今年の3月場所に続く2度目の優勝を果たした。さすがに元小結の実力者である。得意の左四つの相撲で白星を重ねたが、中でも良かったのが13日目の北青鵬戦である。立ち合いから二本差すも相手に両上手を取られた。そして左四つに組むも相手の右上手をなかなか切れない上に寄れず、長い相撲となった。竜電は身長192センチの長身だが北青鵬はそれを上回る2メートルの上にリーチが長い。今度は竜電が頭を付けるが北青鵬が上から押さえつけるように上手を取っており、竜電が寄ろうとするもなかなか寄れず、両者の攻防が続いた。その後竜電が頭を使いながらじわじわ寄ると北青鵬は徐々に後退。最後は北青鵬の右上手が切れたところをそのまま寄り切った。2分の大相撲だったが実力者と二十歳の新鋭の力の入った四つ相撲は非常に見応えがあった。最後は経験が上回ったという内容だった。新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン違反で3場所出場停止処分を受け、番付を下げていたが来場所は8場所ぶりの幕内復帰となる。周囲の人の信用を失ってしまったが、相撲で頑張るしかない。また実力的には幕内に復帰してからが勝負である。三役復帰に向けて、まずは三役を狙える位置まで番付を上げたい。