2025年11月場所を振り返って 優勝争い 千秋楽 琴櫻ー安青錦戦
豊昇龍が不戦勝となったため、この一番が実質的な結びとなった。過去の対戦成績は安青錦が2勝1敗でリードしている。相撲内容も安青錦が琴櫻の懐に入れており、安青錦にとっては取りやすい相手と言える。琴櫻は前日に勝ち越しを決めており、モチベーションと言った部分を含めて安青錦が有利と見ていた。
相撲は突っ張り合いから安青錦が琴櫻の懐に入り、右を深く差した。しかし琴櫻もそれと同時に肩越しに左上手を取り、右を差して得意の形を作った。安青錦は動きを止められてどうかと思った次の瞬間、左からの内無双で琴櫻を倒し、優勝決定戦に駒を進めた。
勝った安青錦は右を深く差した時点で勝てる自信があったと思う。普通なら体の大きな琴櫻に覆いかぶさるように上手を取られたら身動きが取れなくなる。しかし安青錦は背筋が強いので潰されることがない。また技を持っている。そして今場所は1回も内無双を見せておらず、警戒されなかったこともあって見事に決まった。千秋楽まで内無双を見せなかったということは、内無双に頼らず前に出る相撲が取れるようになったことの裏返しである。
そしてこの一番は安青錦が勝ったことで豊昇龍が相撲を取らずして優勝という事態を避けられた。その意味で協会幹部は安青錦に救われたし、安青錦に感謝していると思う。また館内のお客さんも決定戦が観られるということで大喜びである。豊昇龍とその関係者を除けばあらゆる人を救った安青錦の本割での白星だった。
続く
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