2020年9月場所を振り返って 優勝争い その3

2024年5月22日

 14日目。正代は朝乃山と、そして翔猿は貴景勝との割が組まれた。正代は立ち合いでかち上げて朝乃山を押し込み、左上手を取ると最後は右手で朝乃山を豪快に押し倒した。完勝と言っていい相撲内容だった。翔猿は立ち合いから貴景勝を押し込んだが貴景勝に動きを完全に見られてしまった。こうなっては勝ち目がない。最後は叩き込まれ、3敗となった。14日目終了時点で2敗は正代1人となり、単独トップに立った。そして3敗は貴景勝と翔猿の2人となり、優勝争いは3人に絞られた。

 千秋楽は正代は翔猿と、そして貴景勝は朝乃山との大関対決が組まれた。また正代はこの一番に優勝だけでなく、大関獲りが懸かる。しかも対戦相手が翔猿である。今場所好調とはいえ新入幕の力士である。負けてしまえば大関獲りに向けて印象が悪くなるのは容易に想像がつく。正代は一夜明け会見で「千秋楽の対戦相手としては最悪」と語っていたが気持ちは本当によくわかる。 

 そして優勝が懸かった一番。立ち合いから一気に押し込まれ、俵に詰まった。そして押し返すも今度は右からいなされ、2本差された。まさに絶体絶命のピンチだった。しかし翔猿の体が僅かに右に傾いたところを突き落とし、初優勝を決めた。スローで見ても足は片方が宙に浮き、右足一本で何とか残したという感じだった。しかし勝ちは勝ちである。仮に負けたとすれば優勝決定戦となり、大関昇進も見送られたかもしれない・・・。私は正代のファンではないが本割で優勝を決めたこと、そして大関昇進を決めたことにホッとしている。正代からすれば今年1月場所は平幕の徳勝龍に優勝をさらわれ、7月場所も優勝を逃している。まさに悲願の初優勝である。心からおめでとうと言いたい。

続く