今年の大関候補2023 豊昇龍

 西関脇であり、去年の11月場所では三役では初の二桁勝利となる11勝をマークした。

・去年1年に関して

 3月場所に新小結となって以来三役に定着。そして9月場所で関脇に昇進し、11月場所では11勝を挙げる活躍を見せた。若隆景同様、三役に定着しており、地力の高さは誰もが認めるところである。また22歳と年齢も若く、大関候補に止まらず、横綱候補でもある。

・課題

 年齢的にも、能力的な部分でも、黙っていても力は付けてくるものと思われる。しかし当然ながら課題はあり、3つ挙げられる。

 まずは立ち合いである。1月場所でいえば玉鷲戦のように相手の鋭い当たりを正面から受け止められるようになった。その一方で張り差しにいったり、変わりながら廻しを求める相撲も時々見られる。個人的にはなくす必要まではないが、もう少し減らしてほしいという考え方である。こういった相撲を取って成功した時はいいが、失敗した時は翌日以降に悪循環に陥るリスクがある。基本的には真っすぐ当たって欲しい。

 次は相撲の取り口である。1月場所9日目の若元春戦では下がりながら投げに行こうとしたところで左足首を痛めた。相撲のセオリーとしては下がりながらの投げ技は怪我をする危険があるので良くないとされているが、おそらく投げ技に自信を持っているのだと思う。しかし強くなると同時に投げ技も相手に研究されるのは目に見えている。前に出ながらの投げ技なら問題ないが、四つに組むにしても押すにしても、前に出る相撲を心掛けてほしいところだ。

 そして小兵力士対策である。1月場所6日目の翠富士戦では立ち合いから二本差され、抱えて前に出ようとするも寄り切れず、最後は強引に前に出ようとしたところを左から突き落とされた。この相撲に限らず、翔猿など体の小さな力士が相手の時には相撲が雑になる印象がある。また翠富士、翔猿に関しては力を付けており、番付を下げることはないと思われるので対策は避けられない。私の考えは立ち合いの当たりが更に強くなれば前廻しを取りに行ったり、突き放すなど選択肢が増えるので立ち合いの強化が一番だと思っている。

・今後に向けて

 課題はあるものの、計画的に少しずつ体重を増やし、現在は140キロを超えた。また場所ごとに少しずつ力を付けてきているのが観ていて分かる力士である。積極的に稽古をしており、あとは連続して二桁勝利を挙げるなど星を揃えれば自ずと大関は近付いてくると思う。また本人もそう思っているのではないだろうか。しかし本人の目標は横綱であり、大関はそのステップに過ぎない。若さゆえに強引な相撲を取り、自滅することもあるが、これも勉強である。今のペースで経験を積みながら少しずつ強くなっていって欲しいというのが私の願いである。そうすれば初優勝、大関、横綱などあらゆるものが付いてくる。焦らずに着実に力を付けたい。