2022年3月場所個別評価 照ノ富士

 今場所は3勝3敗9休という成績に終わった。休場は2022年9月場所以来12度目で、横綱昇進以降では初めてとなった。白星スタートも2日目は大栄翔に送り出しで敗れて初黒星。3日目の宇良戦は軍配は宇良に上がったものの物言いが付き、宇良のかかとが出るのが早かったということで軍配差し違いでの白星となった。そして5日目は玉鷲に押し倒しで敗れて2敗目となり、6日目から休場した。先場所痛めた腰とかかとに加え、2月上旬に新型コロナに感染し、調整が遅れたことも原因のようだ。

 内容に関しては勝った相撲も含めて速い相撲で勝とうという意志がありありと見えた。やはり初日から膝とかかとの状態が良くなかったのだと思う。今場所の状態では体格差のある力士や機動力のない力士には勝てると思うが、突き押しを武器としている機動力のある相手だと苦しくなる。ましてや横綱である。一日二日だったら速攻相撲でのごまかしは効くが、15日間は無理である。師匠によると手術はせずに治療し、5月場所での復帰を目指すようである。

 そして少し驚いたのが場所前の合同稽古の最終日に参加したことである。内容は勝ったものが何度でも取れる申し合いで8勝3敗だったようだ。申し合いでは玉鷲、阿武咲と取っており、機動力のある相手にどれだけ対応できるか確認したかったものと思われる。そして古傷の左膝を何度も気にしていたようだ。本人は調整が目的だったようだが合同稽古の手応えと直前の稽古で5月場所の出否を判断することとなる。

 私的には5月場所の出場は五分五分と見ている。ただ横綱であり、出場するからには優勝か、それに準ずる成績が求められる。また今場所のような状態なら休場し、7月場所に備えたほうがいいと思う。無駄に金星を配給するだけである。また年齢的に手術はあり得ないので考えたくはないが、状態が戻らなければ引退の可能性もある。しかしまだ横綱に上がったばかりであり、休場が許されない状況ではない。怪我を治すことに全力を注いでほしいというのが私の願いである。